東京・明治神宮外苑地区の再開発を巡り、周辺の港区の子育て世帯などでつくる住民団体が28日、十分な説明がないまま事業が進んでいるとして、事業者に「開かれた説明会と対話の場」を設けることなどを求める要請書を、港区に提出した。(森本智之)

東京都港区の清家愛区長(左)に要請書を手渡した「明治神宮外苑を子どもたちの未来につなぐ有志の会」の人たち=28日、区役所で

◆計画の修正も含めた意見交換を

 外苑再開発は、三井不動産や明治神宮などが球場やラグビー場を建て替え、超高層ビルを整備する計画。住民団体「明治神宮外苑を子どもたちの未来につなぐ有志の会」はこの日、6月に就任した清家愛区長に要請書を手渡した。  要請書では、対象者を制限せず、計画の修正も含めた自由な意見交換ができる説明会の開催のほか、再開発の構想段階から区民の意見を聞く会議体の設置も求めた。清家氏は「できるだけ区民の声が反映されるよう、区としても努めていく」と応じた。  事業者が樹木の伐採本数を検討するため昨秋以降、再開発の工事は中断されているが、今月27日、伐採本数を743本から124本減らす案を事業者がまとめた、とTBSが報じた。

◆事業者側の後ろ向き姿勢に批判

 要請終了後、有志の会の加藤なぎさ氏は「報道の内容だけでは意見を述べられないが、正式に発表された段階で事業者の案が妥当なのか、実現可能なのか、専門家や区民、国民の意見を聞く場を設けてほしい」と述べ、公開の場での議論を求めた。  事業者は2019年以降、事業の進展などに合わせて住民説明会を開いてきたが、対象者をごく近隣住民に制限するなど情報開示に後ろ向きな姿勢が批判されてきた。日本イコモス国内委員会など再開発の見直しを求める専門家グループとの意見交換も拒んでいる。  この点も踏まえ、加藤氏は「専門家の疑問に答えてもらうことで、専門知識のない市民が事業の内容を判断する材料になる。区民、国民に情報を与えてほしい」と求めた。  見直しの内容について三井不動産の広報担当者は「現在検討中で、公表できるものはない」とした。 

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