◆日光市や箱根町も「消滅の可能性」
経済界有志らでつくる民間組織「人口戦略会議」は24日、全国の市区町村のうち40%超に当たる744自治体で人口減少が深刻化し、将来的に「消滅の可能性がある」との報告書を発表した。豊島区役所(資料写真)
報告書で、首都圏1都6県で「消滅の可能性がある」とされたのは91市町村だった。東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県では46市町村。栃木県日光市や神奈川県箱根町といった国内有数の観光地も含まれる。 東京で指摘されたのは2町村。23区は、前回唯一該当した豊島区を含めすべて外れた。ただ出生率が低く、他地域からの流入人口に依存する「ブラックホール型」が新宿、文京、台東、墨田、品川、目黒、大田、世田谷、渋谷、中野、杉並、豊島、北、荒川、板橋、練馬の16区に上った。同分類の全国25自治体の6割強を占めた。 千葉は22市町が「消滅可能性自治体」とされ、全54市町村の約4割に達した。埼玉は全63市町村の4分の1にあたる16市町村、神奈川は全33市町村の2割弱にあたる6市町。 一方、「自立持続可能性自治体」は東京は八丈町、神奈川は葉山町と開成町、埼玉は滑川町、千葉は流山市と印西市が分類された。(原昌志) ◇◆女性、子育て支援、サブカルの聖地として魅力発信
10年前の前回報告で東京23区で唯一「消滅の可能性がある」とされた豊島区は、若年女性人口減少率が前回50.8%から今回は2.8%と大幅に改善し、「消滅可能性」の危機から抜け出した。24日夕、高際みゆき区長は記者団に「ほっとしている」と安堵の表情を浮かべた。 前回報告の発表当時、「ショッキング」と語った高野之夫区長(当時、故人)はその後、「女性にやさしいまちづくり担当課」を創設するなど子育て環境の改善を強化。保育所整備に力を入れ、区立小中学校では昨年9月以降、給食を無償化している。文化を軸にした街づくりも推進し、マンガ・アニメの聖地としてイベントを開くなど魅力向上に努めてきた。 これらの取り組みもあってか、今回は2050年の若年女性人口が約5万人とされ、20年の約5万2000人から微減にとどまった。それで「消滅可能性」から脱却したとみられる。区内で7歳と3歳の子どもを育てる女性会社員(39)は「消滅可能性都市を脱却したのは納得」と喜ぶ。◆でも、出生率は全国ワースト7位
ただ、今回は他地域からの流入を除いた若年女性人口も試算。それによると、50年には約1万7000人にまで減っていた。このため人口維持を流入に頼る「ブラックホール型」に分類された。厚生労働省が19日発表した2018〜22年の市区町村別の合計特殊出生率で豊島区は、全国ワースト7位と低迷している。 高際区長は「一喜一憂しせず、子どもを産みたい、子育てしながら暮らし続けたいという希望がかなえられるよう、しっかりやっていきたい」と気を引き締めていた。(長竹祐子、山口登史) 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。