世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐり、宗教法人法の「報告徴収・質問権」に基づく調査に回答しない項目が多数あったとして、文部科学省が行政罰の「過料」を科すよう求めた申し立ての即時抗告審で、東京高裁(舘内比佐志裁判長)は27日、教団側に過料10万円を科した東京地裁決定を支持し、教団側の不服申し立てを退ける決定を出した。

 宗教法人法は「法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」などがあった場合、裁判所が解散命令を出せると定める。文科省は解散命令請求を視野に、質問権を7回行使。これに対する教団の回答が不十分だったとして昨年9月に過料を科すよう地裁に申し立てていた。

 今年3月の地裁決定は、宗教法人法が解散命令の要件とする「法令違反」に民法の不法行為も含まれるとの初判断を示した。

 そのうえで、教団側が正当な理由なく回答・提出しなかった財務資料や献金に関する情報などがあったと認め、教団の田中富広会長に過料の上限である10万円を科す決定をした。質問権を巡る過料決定は初めてだった。

 高裁の決定を受け、教団は「東京地裁と同様、過料を認めた東京高裁の決定は憲法違反で、過去の最高裁判例にも違反するもので、極めて不当と言わざるを得ません。決定の詳細内容を確認し、特別抗告も含め検討いたします」とのコメントを発表した。

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