書類送検されたのは、大阪 堺市にある「堺市重度障害者歯科診療所」の34歳の歯科医師と55歳の所長の2人です。

去年7月、この診療所で特別支援学校に通っていた17歳の男子生徒が親知らずを抜く治療のために全身麻酔を受けたあと低酸素状態となり、およそ1か月後に死亡しました。

生徒は当時、呼吸を確保するため、肺に酸素を送るチューブを鼻から入れていましたが、警察が捜査した結果、チューブの先端が何らかの原因で気管から外れ、酸素が肺に十分に送られていなかった疑いがあることが分かったということです。

当時、呼吸の異常を知らせるアラームが鳴っていましたが、担当した歯科医師は気管に挿入されていないことを確認しておらず、所長も確認せずにほかの原因を疑って応急処置を行ったため結果的に救急搬送の要請が40分余り遅れたということです。

このため、警察は、適切な処置を怠ったなどとして、2人を26日、業務上過失致死の疑いで書類送検しました。

任意の事情聴取に対し、担当の歯科医師は「チューブの位置の異常などを疑って対処できていればよかった」と話し、所長は「原因がほかにあると判断したことは問題なかったと思うが、救急要請が遅れたのは私のミスです」などと話していたということです。

男子生徒の父親「再発防止の対策を」

亡くなった男子生徒の父親はNHKの取材に対し、「まさかこのような事故で亡くなるとは思っていませんでした。元気で心の優しい子で、治療する日の朝に見せた笑顔が忘れられません。この事故がむだにならないよう、緊急時の対応など再発防止の対策をしっかりとってほしい」と話しています。

堺市歯科医師会「コメントできない」

担当の歯科医師と所長が書類送検されたことについて、診療所を運営する堺市歯科医師会は「書類送検について知ったばかりなので、コメントできない」としています。

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