世界遺産・姫路城があり、約52万人と兵庫県内2番目の人口を抱える姫路市。人口減少が全国の自治体に共通する課題とはいえ、過疎化が進む地域と比べればその深刻度が高いとは言えない。そんな市で今年度、「人口減少に立ち向かうための市民の機運醸成」を目的に据えたプロジェクトが進められている。

 「住み続けたいひめじプロジェクト」には、今年度2400万円(国補助1/2)の予算が計上された。市民参加のワークショップを複数回開催し、市民の意見を反映した市のブランドメッセージとロゴを作成する、という内容だ。

 7月に元TBS社員の久保田智子教育長らを招いたトークセッションでスタートし、8月17日には「ひめじ大会議」と題した市民参加のワークショップが開催された。

  • 子育て中の元TBS社員・久保田智子教育長が実感する「姫路の魅力」

 約50人の参加者が3、4人のグループに分かれ、「今の姫路に何を感じていますか」のテーマで自由に語り合った。

 「住みやすい」「お城がある」という意見に加え、「垢抜けない」「そもそも今回の『大会議』って名称がモチャっとしている」という声も上がった。

 もちろん、人口減少は姫路市でも課題のひとつだ。直近の2020年の国勢調査での総人口は53万495人だったが、今年6月1日時点での推計人口は51万9989人になっている。

 委託を受け、コミュニケーション戦略プロデューサーの山崎祥之さんがプロジェクトの統括を担当している。

 各地でシティープロモーションに携わってきた山崎さんは、こうした活動では、当事者を増やすことが大事と考えている。「人口減少について、10万人を切るという状況の都市とは切迫感が違う。50万人都市で、市民に『自分ごと』と思ってもらうことが大変。『えらいことを引き受けてしまった』というのが本心です」と話す。

 この日のワークショップでは、各グループのテーブルを回り、参加者の話を聞いた。「『まちの魅力を』といっても、なかなか意見が出ないことがよくあります。姫路の場合、はじめからポジティブだったことに安心しました」

 東京在住の山崎さんは、月の半分以上を姫路で過ごし、紹介してもらった人と会う日々を送っているという。

 こういうプロジェクトを始めたと説明すると、協力してくれる割合が高いと感じている。「自治体だけでも、我々のように外から来た人間だけでも、前に進められない。とにかく仲間を増やすこと。楽しみながら進めたい」

 プロジェクトでは、9月1・16両日にも同様のワークショップを開く。10月にコンセプトを固めるワークショップを開催し、11月にブランドメッセージ3案を固め、来年1~2月にデジタル投票でブランドメッセージとロゴを決定する。

 ワークショップ参加申し込みや問い合わせはプロジェクト事務局(079・283・2525)。(宮沢崇志)

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