東京電力は22日、福島第1原発2号機で溶け落ちた核燃料(デブリ)の微量を採取する作業をミスで中断し、延期したと発表した。この日から約2週間かけて3グラム以下のデブリを回収する計画だったが、着手さえできず、初期段階でつまずいた。

◆「耳かき1杯」取るのに、もう3年経ったけど

 東京電力の担当者は「心配をかけおわびする。原因を調査し対策を施して着手する。(時期については)確定的なことは言えない」と釈明した。  東京電力によると、計画では、建屋内の格納容器に隣接するスペースに設置された釣りざおのような装置に、ケーブルで数珠つなぎになった細長いパイプ(長さ約1.5メートル)5本を接続させて押し込み、格納容器に装置の先端を伸ばしていくことになっていた。  だが、22日午前7時24分に作業を始めてから作業員がパイプの並び順の間違いに気付き、午前8時53分に中断した。順番を誤ると、途中で押し込めなくなる恐れがあった。東京電力の説明によると、7月末にパイプにケーブルを通した際に並び順を誤り、その後の点検でも気付かなかった。こうしたミスについて担当者は「初歩的なことだと感じている」と説明した。

配置の順番が誤っていたパイプ。コードで数珠つなぎになっている(東京電力提供)

 この日は、格納容器内の放射性物質を抑えるための隔離弁を開けて、パイプを通す予定だった。東京電力は、パイプが隔離弁を通過することをもって「採取の着手」と説明していたが、「着手」にさえ至らなかった。  2号機の「耳かき1杯」とされるデブリの採取を巡っては、当初目標は2021年の着手だったが、装置の開発が難航して3回延期された。東電は微量のデブリで炉内の状況を推定し、本格的なデブリ取り出しの参考にしたい考え。1~3号機には880トンと推定される大量のデブリが堆積するが、取り出しの時期や工法の具体化はしていない。(荒井六貴、山下葉月) 

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