店頭価格を拘束した疑いが持たれている日清食品のカップ麺

カップ麺の店頭価格を指定した水準まで引き上げるよう小売業者に要請したのは独占禁止法違反(再販売価格の拘束)の疑いがあるとして、公正取引委員会は22日、日清食品に警告した。希望小売価格を値上げした際、本社主導の下、全国の支店に対し、小売業者に要請に従わせるよう指示が出ていた。

店頭価格を拘束した疑いがあるのは「カップヌードル」やシリーズの「シーフードヌードル」「カレー」のほか、「日清のどん兵衛きつねうどん」「日清焼そばU.F.O.」の5品目。

同社はこの5品目を含む即席麺の希望小売価格を22年6月に5〜12%、23年6月に10〜13%引き上げた。

公取委によると、これに合わせて同社は、社内で共有していた店頭価格の目安も改め、スーパーやドラッグストアなど全国の小売業者に改定後の価格で売るよう要請した。

要請を受け入れない小売業者が現れないよう、競業する業者にも同様の要請を行っていると伝えたり、要請を受け入れるまでセール時の卸価格の値引きには応じられないと示唆したりしていた。

セール時についても同社が決めた価格で販売することを条件に卸価格の値引きに応じていた。卸売業者を通じて同様の要請を行うこともあったという。担当者が店舗を回り、約束した価格で売っているか確認し、守っていない場合には再度要請するケースもあった。

公取委は同社の一連の行為は独禁法が禁じる「再販売価格の拘束」に該当する恐れがあると判断し、行為の取りやめや再発防止を求める警告を出した。

再販売価格の拘束が認定された場合、「課徴金納付命令」や再発防止を求める「排除措置命令」を出すこともできるが、審査に時間がかかるケースが少なくない。

今回警告にとどめたのは原材料価格の上昇に伴って幅広い業種で値上げが広がる中、即席麺業界でシェア首位の日清食品に警告を出し、早期に公表することで幅広く警鐘を鳴らす狙いがあったとみられる。

一般的に食料品の流通はメーカーが製造した商品を食品卸を介してスーパーなどの小売業者に販売している。メーカーが希望小売価格を値上げしても店頭価格が上がらない限り卸価格も上がらず、収益圧迫要因にもなる。

物価高を上回る所得増は道半ばで、消費者の節約志向は根強い。今回の公取委の警告は小売業者との丁寧な交渉を通じて価格転嫁を進めるよう促した形だ。

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