一般社団法人「浄霊ヒーリング協会」元会員の少女(当時14)と性交したなどとして、不同意性交の罪に問われた同協会の元代表理事、関伸太郎被告(50)への判決公判が20日、横浜地裁であった。白石篤史裁判長は「優位な立場や影響力を利用した悪質な犯行である」として、懲役2年10カ月(求刑懲役5年)の実刑判決を言い渡した。

 判決によると、被告は昨年8、9月、大阪市と横浜市のホテルで、少女が16歳未満と知りながら性交するなどした。少女は事件後に体調不良や不眠などに苦しんでおり、犯行の結果は重いと指摘。さらに犯行以前から、少女と性的行為に及び、そのことについて協会の会員にとがめられたにもかかわらず犯行に及んだとして「厳しい非難が向けられる」とした。

 弁護側は執行猶予付きの判決を求めていたが、判決は、被告が犯行を認め、少女に謝罪し、弁償金を支払っていること、協会の清算手続きを始めていること、治療が開始されていることなどを考慮しても、執行猶予を付すべきだとはいえないと判断した。

「僕が死んだら…」

 公判では検察側が事件に至った経緯を明らかにした。

 被告は2020年3月に協会を設立し、手かざしによる「ヒーリング」を行い、「太陽の力で魂の曇りを燃やす」などと称して、会員を最大約2千人まで増やした。各会員の活動実績などに応じて4段階の地位を設定。検察側は「自己への求心力を高め、協会員相互間の競争心をあおっていた」と指摘した。

 少女は21年12月ごろ、母親が会員となったことがきっかけで入会した。母親とともに各地で開かれる協会のイベントに参加するうちに被告と知り合い、宿泊を伴うイベントに参加するうちに被害に遭った。被告は、少女に「僕が死んだら(自分の地位を)全部引き継ぐ。だから来ないといけないんだよ」などと言って誘いに応じるよう求めたという。

 被告は被告人質問で、「お互い気持ちがあれば良いと思っていた。自分の勘違いだった」と述べたが、少女は「嫌だったが断るのが難しかった。当時は洗脳され、教えを信じようと言い聞かせていた」と話しており、検察側は「宗教団体の教祖と信者に近い立場の優劣」があったと指摘した。(加藤美帆)

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