収穫した小麦を手にする「カンドーファーム」の田尻一輝社長=7月9日、松江市

 輸入品の価格高止まりが続く小麦の安定供給に向けて、生産から販売までを国内で完結させる取り組みが島根県で始まった。サプライチェーン(供給網)の段階ごとに、県内外の8事業者が参画する協議会を設立し「地産地消」のルートを整備。米や野菜のような「顔の見える」小麦にして、将来的には県内自給率100%を目指す考えだ。(共同通信=木原望衣)

 農林水産省によると、日本の小麦自給率は2022年度で15%。政府が輸入を一元管理して製粉会社に売り渡す外国産は価格の変動が大きい一方、国産は品質や供給量にばらつきがあるのが課題とされてきた。

 松江市で小麦を生産する「カンドーファーム」の田尻一輝社長(48)は昨年7月、肥料を含む資材供給、物流、製粉、卸売りの各業者と「出雲の国小麦プロジェクト推進協議会」を設立した。生産から販売までを国内で一本化すれば、生産拡大により品質や供給量が安定するとの考えからだ。

 秋からは地元スーパーで小麦粉として販売し、小売りまでの供給網が整う予定。鳥取、岡山両県の生産農家とも連携に向けた協議を進めている。

 協議会によると、島根県の小麦自給率は1%未満で、2023年度の生産量は333トン。2027年度までに500トンまで引き上げる方針で、生産農家に加えて2次加工業者の参加を募っている。協議会会長を務める田尻社長は「仕組みを全国に広げて、自給率向上に取り組みたい」と話している。

出荷を控えた小麦=7月9日、松江市

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