人事院は8日、2024年度の国家公務員の月給を平均2.76%(1万1183円)引き上げ、ボーナス(期末・勤勉手当)を0.10カ月増の年4.60カ月とするよう国会と内閣に勧告した。月給改定率は1992年度以来、32年ぶりの高水準のベースアップ(ベア)となる。人材確保の観点から初任給を増やし、総合職大卒は過去最大の上げ幅となる2万9300円増の23万円とする。共働き世帯が増えた社会の変化に対応し、配偶者分の扶養手当(月6500円)の廃止も打ち出した。

月給、ボーナスともにプラス改定は3年連続。年間給与は平均22万8000円増える見通しだ。勧告通り実施されれば、国の給与制度を参考にする地方公務員に影響する可能性がある。

人事院の調査で、月給は公務員が民間を1万1183円下回った。物価高への対応や人材確保を目的に賃上げをする民間企業が相次いだためとみられる。ボーナスも公務員が民間を0.10カ月下回ったため、民間に合わせて引き上げる。

月給は、初任給や若年層に重点を置いた上で、全体的に改定する。初任給は、一般職でも大卒は2万3800円、高卒は2万1400円増やす。扶養手当の見直しでは、配偶者分の廃止によって捻出した財源で子どもの分を1人当たり月1万3000円(現行1万円)に拡充。来年度からの2年間で段階的に実施する。

川本裕子人事院総裁(左)から勧告を受け取った岸田文雄首相=8日午前、首相官邸

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