◆「経営陣は機能不全に陥っていた」

 東京女子医科大(東京都新宿区)や同窓会組織「至誠会」を巡る不透明な資金の流れについて、同大の第三者委員会は2日、調査報告書を公表した。一連の問題の背景に岩本絹子同大理事長(77)の「1強体制」があり、経営陣が機能不全に陥っていたとして改善を促した。

東京女子医大の弥生記念教育棟(資料写真)

 報告書では、至誠会から大学へ出向していた岩本氏の側近職員2人に対する給与は「二重払いを受けていたと評価することもできる」と指摘。また、同大卒業生の親族を対象とした推薦入試を実施する際、大学は至誠会を通じて寄付を受けており、「入学に関する寄付金の収受を禁じた文部科学省通知に反する可能性がある」とした。  教員の採用・昇進では、寄付額が評価要素の一つとされていたことについて「事実上寄付を強いる制度になっていた」とした。このほか、大学法人から岩本氏が関わる企業に不透明な支出があったことも認めた。  第三者委の委員長を務める山上秀明弁護士は「経営陣には真摯(しんし)な気持ちで報告書を読んでいただき、判断していただきたい」と述べた。  警視庁捜査2課は3月、一般社団法人法違反(特別背任)容疑で同大や岩本氏の自宅を家宅捜索している。(昆野夏子) 

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