軍事転用できる機器を無許可で輸出したとして逮捕、起訴され、その後に起訴が取り消された「大川原化工機」(横浜市)の社長らが国と東京都に損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、取り調べなどを担当した警察官3人の証人尋問が行われることが決まった。10月9日に実施される。12月25日に結審する予定。
今月30日にあった同社側と都、国の非公開の進行協議後、同社側が会見で明らかにした。同社への捜査を巡っては昨年12月、東京地裁判決が「必要な捜査を尽くさなかった」として警視庁の逮捕や東京地検の起訴を違法と認め、都と国に計約1億6千万円の賠償を命じた。判決を不服として今年1月、原告と被告の双方が控訴した。
控訴審では、当時逮捕された元役員の島田順司さん(71)や、勾留中に見つかったガンで亡くなった同社元顧問の相嶋静夫さん(当時72)を取り調べた捜査員ら計3人が証人として出廷する。島田さんは会見で「真実をありのままに話してもらいたい」と訴えた。相嶋さんの長男は、「(出廷予定の警察官は、取り調べ時に)誤解を解いてもらうため努力していた父の姿を一番間近で見ていた。正直に父の分まで語ってほしい」と話した。
一審判決では、公安部の逮捕前の任意聴取で、相嶋さんを含む複数の従業員が機器には殺菌に必要な温度に達しない箇所があると具体的に説明していたのに、公安部が必要な実験をせずに逮捕したことは違法だった、と認定。また、公安部の警部補が島田さんに対し、殺菌要件の解釈をあえて誤解させた上で供述調書に署名押印させたとして、違法性を認めた。(比嘉展玖)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。