石川県の馳浩知事は30日の記者会見で、能登半島地震の応急仮設住宅への希望者全員の入居のめどを8月中につけるとしていたことについて、珠洲市や液状化被害の内灘町などで、仮設の完成自体が最長で11月になると明らかにした。新たな入居要望などで戸数の追加や部屋の仕様変更などがあったためで、建設の遅れではないとしている。

 県によると、プレハブ型や木造型を合わせた着工計画は6804戸。着工済みが6732戸で、このうち8割の5498戸が完成しており、8月末時点の完成予定は6262戸とした。

 残る542戸は、市町別で、珠洲市379戸、志賀町98戸、輪島市31戸など。多くが木造長屋方式という。大半は9月中の完成予定とするが、珠洲市の一部や内灘町の20戸、宝達志水町の4戸は11月中になるという。

 結果的に8月中に入居のめどが立たない人が出ることについて、馳知事は「本当に申し訳ない。当初からの仕様変更もあった中での遅れになった」と述べた。

 桜井亘・県土木部長は、業者が確保できないことや、建築資材が手に入らないことなどの理由で遅れているわけではなく、「地理的に不利な半島にもかかわらず、着工ペースは熊本地震と同等で進めてきた」と補足した。

 また、罹災(りさい)証明の発行状況や住宅の傷みの進行などにより、仮設の入居希望者が今後増える可能性もあるとし、桜井部長は「仮設の要望戸数を締め切ることはない」と述べた。

 今回の地震の復旧で、県が当初示した計画が結果として後ろ倒しになったケースは、上水道でも起きた。「珠洲市の一部を除き3月末までに復旧」としていたものが、2度にわたって後倒しされ、最終的に5月末となった。珠洲市の一部では依然、断水が続いている。(土井良典)

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