性教育の大切さが広く認識されるようになった一方で、子どもに性を正面から語るのは難しい。全国の産婦人科医がそんな悩みに向き合う公開講座「子どもと性を語るには」が27日、奈良市のなら100年会館であった。

 日本産婦人科医会性教育指導セミナーの一環。当初400人規模の中ホールで開催する予定だったが、参加者が増え、会場を大ホールに変更して、学生ら約700人が参加した。

 冒頭、山形県の開業医の井上聡子医師が「寝た子を起こすなと性はタブー視されてきたが、子どもは誰も寝ていない。起きている子から信頼される大人になろう」と呼びかけた。

 いわゆるJKビジネスといった逸脱行為を「ダメ絶対」「自分を大切に」と呼びかけても、「いけないとわかっている子には救いにならない」と指摘。SOSを受け止める場所をちりばめる大切さを説いた。

 複数の医師が登壇し、梅毒の感染者が激増していること、キスからでもうつるためパートナーと相談しながら決めることの大切さを紹介。子宮頸(けい)がん予防のHPVワクチンについて、接種機会を逃した人向けの「キャッチアップ接種」は今年9月末までに初回を受ける必要があると伝えた。

 後半は来場者の質問に回答。「テレビで流れる下ネタにどんな反応をしたらいいか」との問いに、医師たちは「自分の思いをひとまず声に出さないと伝わらない」「害がなければ一緒に笑ってもいいし、嫌なら嫌と言おう」などと答えた。

 学校の性教育への期待が高まっていることについて、岩手県立中部病院の秋元義弘医師は「教員自身が指導法を知らない。産婦人科医など外部講師を活用してほしい」と呼びかけた。(机美鈴)

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