モンスターを倒す人気ハンティングアクションゲーム「モンスターハンター(モンハン)」の誕生20周年を記念した催しが人気を集めている。愛知県豊橋市の街を「舞台」とし、多くのファンが足を運ぶ。市や地元関係者も、漫画やゲームなどで観光を促す「コンテンツツーリズム」に手応えをつかんだようだ。

 4月下旬に始まり、今月31日まで開催の「豊橋へ 一狩りいこうぜ!」は街がフィールドだ。豊橋市自然史博物館(同市大岩町)の恐竜の骨格標本の間にはモンハンに登場するモンスター「ジンオウガ」がいる。豊橋駅近くの牟呂用水の上に立つ「水上ビル(大豊ビル・豊橋ビル)」の壁面にもモンスターの姿がある。豊橋駅には手筒花火を手にした「モンハン」のキャラクター「アイルー」の記念オブジェが設置されている。

 モンハンの世界観と豊橋のまち巡りを楽しめるようデジタルスタンプラリーも開催。企画したJR東海広報部によると、6月末までの参加者は約1万5千人だった。10代後半~20代前半の世代のほか、家族連れも多かった。

 地元企業との協力やコラボにも反響があった。地元の団子メーカー丸八製菓は、モンハンの販売元カプコン(大阪市)の依頼を受けて過去に作った「カムラの里 うさ団子」を期間限定で販売。店頭に並ぶとすぐに売り切れる人気ぶりだった。豊橋市内の工場でブラックサンダーを製造する有楽製菓(東京都小平市)は約7千箱限定でコラボ商品を販売したところ、6月末には完売。週末と祝日に「ちくわ焼き」が体験できるヤマサちくわ(豊橋市)は、本店がスタンプラリーのチェックポイントとなっていることもあり、今月21日現在でのべ1204人が参加。広報担当の湯浅亮さん(55)は「普段、いらっしゃらないお客さんに商品名と社名を知ってもらえるきっかけになった」。

 コーヒー紅茶製菓製パン材料小売りのワルツ(豊橋市)では、コラボ仕様の水出しコーヒーが、前年同期比で470%の売り上げを記録した。同社総務部の石原浩司さん(46)は「イベントの効果は十分あった」と話す。

 JR東海によると豊橋市の魅力を知っていただくことが狙いだという。同社担当者は「地元企業とのコラボ商品は大変好評で、豊橋の食や観光の魅力を知っていただく大事な機会となった。この取り組みが『地域創生』のきっかけにつながれば」と話す。鉄道会社としても、大都市圏から地方への鉄道の利用者増に結びつく可能性を秘めている。

 ゲームやアニメを活用した「コンテンツツーリズム」に力を入れる豊橋市は約1千万円の事業費をあてた。市観光プロモーション課の中村紀彦課長(49)は「コンテンツツーリズムは地域経済に一定の効果があったと思う」と話す。(戸村登)

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