避難所に設置した風呂で、利用者を迎える陸上自衛隊の隊員(3月、石川県珠洲市の飯田小学校)=陸自のフェイスブック・時事

能登半島地震に伴う自衛隊の災害派遣期間が11日で阪神大震災(101日間)を超え、東日本大震災(174日間)に次いで過去2番目となった。水道の復旧が進まず、給水や入浴の需要が根強いことが主な要因。制服組トップの吉田圭秀統合幕僚長は同日の記者会見で「被害や地形の特性でバトンタッチが難しい。ニーズがある限り被災者に寄り添い、生活支援活動を続ける」と強調した。

元日の発生後、自衛隊は延べ約91万人の隊員を投入。不明者捜索やがれき撤去は既に終了し、現在は約1600人が給水・給食支援や、石川県内4市町に10カ所ある風呂の運営に当たっている。

災害派遣は緊急性や公共性を考慮し、自衛隊以外で代替できない場合に防衛相が命じる。これまでは仮設住宅の完成やライフライン復旧、自治体への引き継ぎ終了などを理由に撤収しており、大半が2カ月以内だった。

能登地震では現在も6000人超が避難生活を送り、各地で断水が続く。風呂の利用者は延べ約40万人に上り、今も毎日約2000人が訪れる。県の担当者は「断水被害は過去最悪規模で、当面風呂は自衛隊に頼るしかない」と話す。

自衛隊は今回最大18カ所で風呂を設置した。東日本大震災全域で35カ所だったことと比べても手厚い対応で、吉田統幕長は「こうした支援は被災地域が狭かったから続けられた面もある」と指摘。南海トラフ地震などを念頭に「極めて広い地域で被害が起きれば、10万人の隊員を投じても支援密度は低下し、各自治体が自衛隊を活用できる範囲は小さくなる。自立してやる部分を増やさないと同じようにはいかない」と述べた。〔時事〕

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