政府は26日、富士山の大規模噴火で首都圏に降り積もる火山灰について、被害の軽減策や除去・処分方法を議論する有識者検討会の初会合を開いた。鉄道運休や広範囲の停電で都市機能のまひが想定されており、影響回避に向けて自治体や事業者が対策を取る際の参考にしてもらう。年内にも指針を取りまとめる方針。

検討会は藤井敏嗣東大名誉教授を座長に、火山の専門家ら計5人で構成。藤井座長は会合で「火山災害は、われわれが生きているうちに経験していないようなことが起こるので、いろいろな可能性を検討することが重要だ」と述べた。

政府の中央防災会議は2020年、富士山噴火による首都圏の被害想定を初めて公表。被害が最大のケースでは、噴火15日目までの累計で東京都新宿区に灰が10センチ積もる。鉄道は微量の灰でも走れなくなるため、茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、静岡7都県で運行が停止。道路も3センチの灰により四輪駆動車以外は通行が困難になる区域が7都県で発生する。

処分が必要な火山灰の量は、東日本大震災で出た災害廃棄物の約10倍に当たる4億9千万立方メートルと推計。通信や上下水道への影響も懸念され、灰の除去方法や処分先の確保が課題となっている。〔共同〕

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