専門学校の教員から、全学生の前での謝罪要求や謝罪文の執筆などの不当な強要でアカデミックハラスメントを受けたとして、神戸総合医療専門学校(神戸市須磨区)の元学生(26)が26日、同校を運営する医療法人社団慈恵会を相手に約300万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴した。

 慈恵会側は取材に「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。

「公開処刑だ」の声

 訴状によると、診療放射線科に在籍していた元学生の男性は、最終学年だった2023年9月、就職活動の一環で、就職先の候補である病院へ見学に行った。

 しかし教員は、実習期間中に見学へ行ってはならないとし、見学後の男性を呼び出し、「なにか処分をしないとあかんな」「1年棒に振れますか?」などと発言。留年するか、同学年の全生徒の前で謝罪するか選択するよう強要。謝罪文の提出も求めたという。

 男性は謝罪文を提出し、学校の大講義室で同学年の3年生70~80人を前にマイクを持ち「実習中にもかかわらず病院見学に行き、申し訳ありませんでした」と謝罪したという。

 他の生徒からは「公開処刑だ」といった意見があがったという。

 男性はその後、うつ状態と診断され、自殺未遂も起こしたという。

 病院見学について男性側は、事前に教員からは「理由なく行かないように」と言われていたものの、就職活動に関する説明の書面や学校の内規には明文化されていないと主張。実際には他の学生も見学へ行っていて、就職には必要であることなどから、教員が見学の禁止を命じたこと自体が不当なものだ、としている。(宮坂奈津)

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