奈良公園の鹿への暴力を防ごうと、奈良県警や県、一般財団法人の「奈良の鹿愛護会」などが25日、奈良市内の公園周辺で「鹿を傷つける行為は法律で罰せられる可能性があります」などと呼びかけた。

 SNSで鹿を蹴り上げる人の動画が拡散しており、警察に「鹿を守ってほしい」との声が届いているという。

 この日、奈良署の警察官や県職員、愛護会の職員ら約50人は「鹿はここで生活しています。大切にしましょう」などと拡声機を使って呼びかけつつ、注意事項などが書かれたチラシを配った。海外からの観光客にも伝わるよう、英語と中国語でも呼びかけた。

 国の天然記念物に指定されている奈良公園内の鹿を傷つければ、文化財保護法違反に問われる可能性がある。

 2021年には、公園内の鹿をおののようなもので死なせた男性が、同法違反罪で懲役10カ月執行猶予3年の有罪判決を受けている。同法違反の罰則は5年以下の懲役または100万円以下の罰金とされている。

 SNS上に拡散している動画には、白いTシャツを着た人が公園の鹿を蹴り上げたり、頭をたたいたりする様子が映っている。署にはこれまでにも多ければ月に数回、「鹿に乗っている観光客がいる」「鹿せんべい以外の餌をあげている」などといった指摘の声が届いていたが、この動画が拡散した後はさらに増えているという。

 豪州から公園を観光に訪れたミッシュ・ステラさん(35)は、「鹿を蹴ることは良くないこと。観光客はルールをしっかりと守らないといけないと思う」と話した。

 愛護会の山崎伸幸事務局長は「鹿への思いやりを持って公園に来てもらえるように、PRしていくことが大切」と語った。(仙道洸)

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