【パリ=田辺アリンソヴグラン】26日に開幕するパリ五輪の選手村に各国・地域の選手団が続々と入村している。選手村は環境への配慮をコンセプトに掲げ、新たな試みとして「育児室」を設置した。パラリンピックが閉幕する9月上旬まで2万人を超える出場選手らを迎え、熱戦を後押しする。
選手村は定期的に公開されており、18日の正式オープンを受け23日に改めて報道陣に公開された。パリ北部のセーヌ・サンドニ県に建設され、敷地内にセーヌ川が流れる。東京ドーム約11個分の広さに宿泊棟のほかレストランや美容室、郵便局などがある。
オリンピックで約1万4250人、パラリンピックで約9000人の選手らが宿泊し、大会後は一般住宅として活用される。これまでに約8000人が到着し、窓やベランダには国旗が掲げられていた。
選手村責任者のローラン・ミショー氏は「選手たちは我が家のようにくつろいでいる様子だ」と自信をみせた。
建設にあたり大会組織委員会が重視したのがレガシー(遺産)となる「未来の都市」づくりだ。
エアコンの代わりに地下水による床冷房システムを使い、温暖化ガスの排出を抑える。使用する電力は屋根に設置した太陽光パネルなどの再生可能エネルギーで賄う。
無料の給水所も約200カ所設置した。チュニジアの選手は「ペットボトルを使わずにすむからいい」と話し、持参したボトルに水を補充していた。
2021年東京大会に続き、寝具メーカーのエアウィーヴが製造した段ボールベッドが採用された。同社は体にあわせて寝具の固さを調整できるフィッティングセンターも開き、米国や南アフリカの選手ら約500人が利用した。
選手の過ごしやすい環境づくりにも力を入れた。
共用棟の一室に設けた育児室は親子でくつろげるように遊具や絵本を置き、授乳やおむつ交換のスペースがある。柔道女子63キロ級の仏代表、クラリス・アグベニェヌ選手が幼い娘と一緒に滞在できるようマクロン大統領に設置を求めていた。
乳幼児が対象で、午前9時から午後9時まで使える。23日時点で3組が予約しているという。
選手がリラックスできるように、日本選手団はソファやお茶などを置いた談話スペース「TEAM JAPANカフェ」を宿泊棟の1階に設けた。元柔道選手の谷本歩実副団長は「ただいまと帰ってきて、リビングのように時間を過ごしてもらえたら」と話した。
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