子どもたちが「ライフジャケット」を体験

22日、滋賀県甲賀市で開かれた講習会。

市の教育委員会が開いたもので、会場の屋内プールには地元の小学生およそ20人が集まりました。

子どもたちは、まず、ライフジャケットの着用方法を講師に教わり、手順をしっかりと確認しながら着用しました。

そしてプールに入ると、あおむけの状態で大の字になって水に浮かぶ「背浮き(せうき)」を体験し、ライフジャケットの浮力で体が浮くことを確認しました。

8歳の男子児童は「ライフジャケットの着方の順番をしっかりと覚えました。着ているとラッコみたいに浮かんでいられることがわかりました」と話していました。

講師を務めた甲賀市甲賀B&G海洋センターの大林真也さんは「水辺に行くときはライフジャケットを必ず持参してほしい。命を守るライフジャケットを着用して楽しい夏休みを過ごしてほしい」と話していました。

検証!ライフジャケットの効果は?

万が一、川や海で流されるなどした場合、ライフジャケットの有無でどのような違いがあるのでしょうか。

NHKは、水難学会の専門家の立ち会いの下、深さ3.8メートルのプールで検証しました。

ライフジャケットをつけていない場合、プールサイドから落ちただけで、かなり深い場所まで体が沈み込み、顔が水面に出て呼吸できるようになるまで15秒以上かかりました。

さらに、水面に上がってきたところで、手を振りながら「助けて!」などと声を出して叫ぼうとすると、両手をあげた重みに加えて、声を出したことで肺の空気が抜けて浮力を失い、大きく体が沈んでしまいました。

一方、ライフジャケットを着用した場合は、一瞬、体は水没したものの、すぐに水面まで浮かぶことができます。

また、水面でも安定して浮いていることができるため、周囲の様子を確認しながら助けを呼ぶこともできました。

広がる「無料レンタル」の取り組み

海や川で遊ぶ際に子どもたちの安全対策に役立ててもらおうと、ライフジャケットを無料で貸し出す取り組みが各地の海水浴場などで広がっています。

水辺の安全対策の啓発などに取り組む公益財団法人のマリンスポーツ財団では、9年前(2015)から、各地の自治体や海水浴場などと連携し、ライフジャケットを無料で貸し出す取り組みを進めています。

マリンスポーツ財団のWEBサイトより

財団によりますと、希望する自治体などは増加傾向にあり、貸し出しを行う拠点となる「ライフジャケットレンタルステーション」の数は7月19日の時点で全国で47か所と去年に比べて2倍近くに増えました。

このうち、神戸市垂水区のアジュール舞子海水浴場では、ことしは7月11日からステーションが設置され、子ども用のライフジャケット20着が貸し出されています。

ステーションは神戸ライフセービングクラブが管理していて、22日も訪れた親子連れがライフジャケットを借りて海水浴を楽しんでいました。

4歳の息子のライフジャケットを借りた大阪・羽曳野市の男性は、「子どもがライフジャケットをつけるのは初めてです。気軽に借りて安全対策ができるのでよい取り組みだと思います」と話していました。

また、神戸市の小学1年生の女の子は、「ライフジャケットをつけて楽しく遊べました。また使いたいです」と話していました。

神戸ライフセービングクラブ 石原拓馬さん
「この海岸は場所によっては潮の流れが速いところもあるので、ライフジャケットがあるとより安全に楽しめると思います。小さいお子さんが遊ぶ際にはぜひ活用してもらいたいです」

ライフジャケットの無料の貸し出しをめぐっては、▽静岡県や香川県、▽滋賀県甲賀市など自治体が積極的に取り組むケースも広がっています。

オシャレなデザインも登場 楽しみながら着用を

川での事故の分析や啓発活動を行っている河川財団の菅原一成主任研究員によりますと、ライフジャケットは、スポーツ用品店やアウトドアショップ、ホームセンターなどのほか、インターネットのサイトでも購入できます。

価格は数千円から1万円を超えるものまで幅がありますが、4000~5000円くらいで信頼性の高い製品が購入できるといういうことです。

非常に安い製品の場合は、十分な性能があるか、念入りに確認することが大切です。

ライフジャケットは、体にフィットすることが大切なので、初めて購入する場合は、店舗などで実際に着用して確かめると安心です。

また、最近は、おしゃれなデザインのライフジャケットも数多く登場しているということで、菅原さんは、楽しみながら着用して欲しいと話していました。

河川財団 菅原一成 主任研究員
「ライフジャケットというと、オレンジ色で船舶に積んであるというイメージが強いと思いますが、最近は、秀逸なデザインのものが出てきています。また、ライフジャケットは、車のシートベルトと同様に自分の命を守る上で大切な道具ですが、水に浮かんで遊ぶなど遊びの幅を広げる道具でもあります。『ライフジャケットを着けるなんておおげさだ』と思う人もいるかもしれませんが、水辺の活動をさらに楽しくする道具なので、ぜひこの夏は着用してみて欲しい」

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