大阪府豊能町のデジタル関連事業をめぐり、町監査委員が前町長に約3900万円を請求するよう町に勧告したのに従わないのは不当だとして、町民11人が22日、勧告通りの額を前町長に払わせるよう現町長に求める住民訴訟を大阪地裁に起こした。
訴状によると、町は2022年6月議会でデジタル関連サービスを提供する「スマートシティ事業」の予算案を可決。当時の塩川恒敏町長は国の交付金と関連企業の寄付で費用を賄うとしたが、寄付は予定していた約1億9500万円のうち6千万円しか得られず、約3900万円を一般財源から出す事態になった。
町監査委員は「財務会計上の違法」があるとして今年3月、任期満了で退任した塩川氏に約3900万円を請求するよう上浦登・現町長に勧告した。だが、町は「交付金に与える影響が懸念される」として、塩川氏には「責任を果たすよう求める」と記した文書を送るにとどめた。
勧告に法的拘束力はないが、提訴後に会見した原告らは「監査委員が勧告すること自体がまれで、町長には勧告を尊重する義務がある」と主張し、塩川氏に穴埋めを求めるべきだと訴えた。
取材に対し、上浦町長は「訴状が届いていないのでコメントできない」とした。(山本逸生)
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