腕にバインダー、手にはペン。広島で活躍する人物の姿を見かければすぐに飛んでいく。「手形を取らせてもらえませんか」
清古尊(せいこたける)さん(14)は、廿日市市出身の中学3年生だ。昨秋から、広島ゆかりの人物の手形を集める活動を始めた。手の輪郭を紙の上でなぞり、サインや一言を添えてもらう。これまでに62枚を集めた。
きっかけは尾道市で見た、全国の有名人の足形を展示するアート作品だ。広島にゆかりのある人物に絞れば、地域活性化にもつながるのではないか。足は無理でも、手形なら。そう思ったのが、収集のきっかけだ。
これまでにNPO法人「食べて語ろう会」理事長で「ばっちゃん」として親しまれている中本忠子さんや、ラジオパーソナリティーのキムラミチタさんなど、様々な人の手形を取ってきた。
手形には個性が表れていると感じる。手を広げて出す人や、ピースサインを出す人。指輪の有無や指の太さからも、何となくその人らしさが出る。手形に添えてもらうサインやコメントも様々だ。
好きなことはとことん突き詰めるタイプで、今は「中毒状態。手形を取らないと気持ち悪い」という。週末ごとに講演会などのイベントを調べては、講師や出演者に手形をもらいに行く。最近は「こんなおもしろい人がいるよ」と紹介もしてもらえるようになった。
活動が目にとまり、先月には地元の廿日市市役所大野支所で展覧会も開いた。収集した手形の一部とともに、その人の活動を紹介する説明文をつけた。来場者から「この人、こんなこともしてたんだ」「広島にこんなおもしろい人がいたなんて」という声が聞けたことがうれしい。
今の目標は100人の手形を集めて、再び展覧会を開くこと。本も出してみたいし、集めた手形を地元物産のパッケージデザインに利用してもおもしろいかもしれない。夢は広がっている。(魚住あかり)
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中学校では茶道部に所属。小学生の頃からバレーボールも続けており、学外のクラブチームに所属している。
最近は学校の友人からも「将来、手形を取ってもらえるようにがんばる」と声をかけられるようになった。
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