東京・渋谷で行われた「プライドパレード」には性的マイノリティーの当事者や支援者などが参加し、多様性の象徴とされる虹色の旗や服を身につけ、「ハッピープライド」と声をあげながら、街なかを行進しました。

主催団体によりますと、性的マイノリティーの存在を広め差別や偏見のない社会を目指す「プライドパレード」が日本で初めて行われたのは1994年で、それから30年を経て、21日はおよそ1万5000人が参加したということです。

性的マイノリティーの人たちをめぐっては、同性カップルを“結婚に相当する関係”とみなして証明書などを交付するパートナーシップ制度の導入が各地の自治体で進んでいるほか、去年、LGBTの人などへの理解増進に向けた法律が施行されました。

社会の理解が徐々に広がる一方で、当事者などからは生きづらさを訴える声も引き続きあがっています。

パレードを主催した「東京レインボープライド」の杉山文野共同代表理事は「LGBTQに対する認知度は高まっていますが、法整備などは課題です。30年の歴史を振り返り、次のアクションにつなげていきたい」と話していました。

この30年で社会状況は変化

性的マイノリティーをとりまく社会の状況はこの30年で変化しています。

2003年、戸籍上の性別変更を認める性同一性障害特例法が成立し、翌年施行されました。

その後、文部科学省が性同一性障害に関する児童・生徒への対応について通知を出すなど、理解や支援の動きが進みました。

9年前の2015年には同性カップルを“結婚に相当する関係”とみなして証明書などを交付する「パートナーシップ制度」が東京・渋谷区と世田谷区で初めて導入されました。

同様の制度は各地に広まり、同性婚の実現に取り組む団体「マリッジフォーオールジャパン」のまとめによりますと、これまでに全国の450を超える自治体で導入されています。

民間では性的マイノリティーに配慮したサービスを提供したり、同性パートナーがいる社員を支援したりする企業が年々、増えています。

国会では去年、「性的指向やジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別はあってはならない」などとして性的マイノリティーの人たちへの理解増進を進めるための法律が成立しました。

司法の分野でも近年、性的マイノリティーの権利を尊重する判断が相次いでいます。

同性婚をめぐる各地の集団訴訟では、同性どうしの結婚が法律上認められていないのは憲法違反だとする判決も出されているほか、先月には犯罪被害者の遺族に支払われる国の給付金をめぐる裁判で最高裁判所が「同性のパートナーも対象になりうる」という初めての判断を示しました。

かつてに比べ性の多様性に対する認識が広がった一方、当事者などからはいまも日常生活や制度面などでさまざまな壁に直面していると生きづらさを訴える声もあがっています。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。