選挙ポスター枠の「販売」や他の候補者の演説妨害が起きた7月の東京都知事選などを受け、鳥取県の平井伸治知事は18日の記者会見で、選挙運動と関係ないポスターの掲示や選挙妨害を禁じる独自の条例を制定する意向を明らかにした。県議会9月定例会に条例案を提出することを目指す。

 県によると、条例では、営利目的など選挙運動以外のポスター掲示を禁ずることを明示するなど公職選挙法の趣旨を明確化する。選挙管理委員会は、掲示した人に撤去させることもできるとする。禁止事項として選挙の自由妨害などを挙げ、妨害行為は県迷惑防止条例などに基づいて対処するという内容も想定している。

 条例違反でも罰則は設けないが、選管がポスター撤去要求などの権限行使がしやすくなり、公選法の実効性の確保につなげる狙い。

 都知事選では、犬や猫の写真、性風俗店の広告がポスター掲示場に貼られ、寄付を条件に候補者以外でもポスターを貼ることができるとしてポスター枠を事実上「販売」した政治団体もあった。衆院東京15区補選では、対立候補への選挙妨害を繰り返したとして候補者らが公選法違反の疑いで逮捕された。

 公選法ではポスターの掲示場所や大きさの規定があるが、訴えの内容は原則自由とされる。枠の「販売」は想定外で規制がない。

 鳥取県は公選法に「候補者はポスター掲示場に選挙運動ポスターをそれぞれ1枚掲示することができる」と明記されていることを根拠に、選挙運動用でないポスターを掲示場に貼ることは法的に認められていないと判断した。

 平井知事は18日の会見で、「(公選法の)解釈運用の範囲内だ。法に反しない範囲での条例制定を検討したい」と説明。一方で、公選法自体の改正も必要との考えを示した。(清野貴幸)

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