北陸新幹線を大阪まで延伸する「小浜・京都ルート」を巡り、大阪府交野市の山本景市長は17日の記者会見で、建設を担う鉄道・運輸機構に対し、トンネル工事が行われる市内の地下水への影響調査などを行うように申し入れをする考えを明らかにした。山本市長は「市内の水道水の約8割を地下水から取水している」と説明している。

 市によると、2019年に公表された敦賀(福井県)―新大阪の同ルートでは、市内の地下を新幹線のトンネル区間が通る。今後、環境アセスメントなどの手続きを経て、鉄道・運輸機構側が工事を進めていく。

 山本市長は、リニア中央新幹線(品川―名古屋)のトンネル工事が進む岐阜県内の井戸などで水位低下が見られた問題にふれ、「交野市の工事も不安が払拭(ふっしょく)できない。地下水がなければ市民生活は成り立たない」と懸念を示した。

 市側の説明では、市と機構は5月に話し合いの場を持ったが、機構側は地下水への影響が少ないトンネル工法については費用の問題から難色を示したという。機構は京都府内での地下水調査は行うが、大阪では「(行うかどうかは)調整中」とし、検討段階だという。

 市は、現時点で地下水調査実施の回答を得られていないことから、機構が北陸新幹線の地質関係調査で使う市有地の貸し出しを保留した。(村井隼人)

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