能登半島地震による隆起で広がった砂浜を活用した「浜開き」が14日、石川県輪島市町野町の大川浜であった。地元住民や復興支援のボランティアら約200人が集まり、ビーチスポーツやステージパフォーマンスを楽しんだ。

地震後に広がった砂浜で御陣乗太鼓の演奏を楽しむイベント参加者たち(奥)=14日、石川県輪島市町野町の大川浜で

 「スマートフォンの地図アプリで、この場所を見てみてください。今、海にいると思います」。イベントを主催した町野復興プロジェクト実行委員会(町プロ)の山下祐介委員長(38)は冒頭、砂浜にいる参加者に語りかけた。

◆約200人がビーチサッカーや演奏、屋台など楽しむ

 山下さんによると、地震による隆起で、砂浜の面積は約2倍に拡大。場所によっては、海岸線が10メートル以上前進した地点もあるという。砂浜はこれまでサーフィンをする人がまばらに来る程度。海水浴場でもなく、地元住民を含め、人を集める行事が開かれたことはなかった。  「地震で多くのものが失われた一方で、自然が与えてくれたものもある」と山下さん。広がった砂浜もその一つで「有効活用して地域を盛り上げよう」と企画した。この日、参加者は広がった平地の砂浜を利用したビーチフラッグスやバレー、サッカーなどのスポーツを楽しんだほか、軽食を売る店も10店舗ほど並び、ラーメンやかき氷などに舌鼓を打った。

地震後に広がった砂浜でビーチサッカーを楽しむイベントの参加者たち=14日、石川県輪島市町野町の大川浜で

 砂浜に設けたステージでは、同市名舟町の御陣乗太鼓保存会が迫力の演奏を披露。友人と参加した町野町の中島優美子さん(70)は「こんな近くで演奏を見たのは初めて。浜の雰囲気とすごく合っていた」と笑顔で話した。地震後はこうしたイベントに積極的に参加していると話し「家の片付けや屋根瓦の修繕などで沈んだ気持ちを癒やしてくれる」と感謝していた。(脇阪憲) 

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