「マイクオフ」問題をきっかけとした伊藤信太郎環境相と水俣病患者・被害者団体との再懇談は11日、3日間の日程の最終日を迎えた。伊藤氏は水俣病の被害が広がった不知火海を船で渡り、獅子島(鹿児島県長島町)と御所浦島(熊本県天草市)を訪れ、被害の広がりや治療にあたっての困難さを訴える声に耳を傾けた。

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 熊本県水俣市は朝から時折、横殴りの雨がたたきつけた。伊藤氏らを乗せるチャーター船は予定していた水俣港に着岸できず、数キロ離れた別の港に寄港地を変更。水俣港でセキュリティーチェックにあたっている職員らにも「寝耳に水」の急な変更で、関係者が一斉に車で移動、乗船チェックをやり直すなどして、予定より約30分遅れの午前8時半前に出港した。

 船はいったん北上して、水俣病の原因企業チッソが廃水をためた「八幡プール」の跡地付近を沖合から見学。廃水を流す場所について、チッソが南側の百間排水口から八幡プール側に変えたため、被害が水俣周辺から不知火海一円に広がったとの説明を受けた。

 その後、船は不知火海を横切って獅子島へ。団体側の説明者は「一衣帯水と言いますが、水俣と島はすぐ近くなんです」と説明した。

 獅子島東側の海に着くといったん停船。患者が多発した湯ノ口地区についての説明を船上で聞いた。地区は急な斜面に家が並び、住民の多くが漁業で生計を立てていたことから被害が広がったとされる。

 伊藤氏は船上から島を眺め、住民の人口などについて質問しながら、団体側の説明を聞いていた。(今村健二)

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