インターネットバンキングの不正送金グループの指示役が逮捕された事件について、警察庁の露木康浩長官は11日の定例記者会見で、同庁のサイバー特別捜査部による捜査が容疑者の特定につながったと説明し、特捜部について「国内のサイバー捜査のハブとしての機能を発揮することが重要だ」と述べた。

 サイバー特捜部と警視庁など16都道府県警の合同捜査本部は9日、不正送金グループのリーダーとされる矢野洋平容疑者(44)を不正アクセス禁止法違反容疑で逮捕した。グループは準備役や不正送金の実行役など少なくとも10人で構成され、全国で20件以上、計1億2千万円以上の被害が確認されているという。

 露木長官は、サイバー特捜部が容疑者を逮捕した初の事件で、警視庁などによる2年以上にわたる捜査で得た情報を特捜部が集約、分析し、一連の事件が矢野容疑者の指示の下で行われたことを突き止めたと説明。特捜部が高度な技術で暗号資産の動きを追跡し、容疑者を特定したという。

 前身のサイバー特別捜査隊が2022年4月に発足し、海外の捜査機関との国際共同捜査に参加してきた。露木長官は「これまで国際捜査と国内捜査の結節点として機能してきた」とした上で、今回の事件のように国内捜査の束ね役も果たすのが重要との考えを示した。(編集委員・吉田伸八)

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