8日、水俣市で、水俣病の患者団体など6団体が参加して行われた懇談で、伊藤大臣は、水銀による健康影響を客観的に評価するとして国が開発した手法による調査を遅くとも2年以内に開始すると述べました。

これまで団体側は
▽国の手法による健康調査は1人当たりの検査に時間がかかることなどから、過去の調査結果をいかした実効性のある調査を一刻も早く行うことや
▽被害の広がりを明らかにするため、水俣病が発生した不知火海沿岸のすべての住民にアンケート調査を実施することなどを要望していました。

これらの要望に対して伊藤大臣からは「団体側が提案した方法も含め、総合的に検討したい」と回答するにとどまりました。

参加した人からは「被害は広範囲に及ぶが、国の健康調査は不知火海全域を網羅して被害が明らかにされるのか疑義を持っている」とか、「調査をいつ終えられるか、はっきり示してほしい」などの声があがっていました。

伊藤大臣は公務のためいったん東京に戻ったうえで、10日に再び水俣市で一つの団体と懇談し、11日は水俣病の発生地域の島を訪れ、別の団体などと懇談する予定です。

伊藤環境相「検討重ねて前進したい」

水俣病の患者団体などとの懇談を終えた伊藤環境大臣は報道陣の取材に応じ、「一度の懇談で解決できるものではなく、しっかり検討を重ねて前進したい」と述べました。

また、団体側から、要望に対して「ゼロ回答だ」という声があがったことについて「健康調査の実施時期を示すなど、いくつか具体的に答えた」と話していました。

水俣病関係の団体「今後に期待したい」

水俣病関係の団体などでつくる「水俣病被害者・支援者連絡会」の山下善寛 代表代行は、伊藤環境大臣との8日の懇談を終え「懇談で伝えた内容を、今後の環境行政に生かしてほしい。やはり制限時間が3分ではとても足りないと改めて感じた。それを大臣にも気付いてもらえたと思うので、今後に期待したい」と話していました。

団体側からの要望に対する回答については「ゼロ回答だった」としたうえで、「今後、少しは変えられる可能性も出てきたと感じた。きょうの再懇談を問題解決につなげてほしい」と話していました。

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