血糖値を下げるインスリンが体内で分泌されなくなる「1型糖尿病」の患者らが障害年金の支給打ち切りは不当だとして国に取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が19日、大阪高裁であった。本多久美子裁判長は一審・大阪地裁判決を取り消し、原告側の請求を認めた。国の障害認定基準の見直しは認めなかった。

訴訟では、支給対象を定めた国の障害認定基準の合理性が争われていた。

訴状によると、原告は30〜50代の男女で、いずれも未成年の時に発症。20歳から「日常生活に著しい制限を受ける」状態の障害等級2級と認定され年間約80〜100万円の年金を受給していたが、16年までに支給対象外の3級とされた。国から理由は示されなかった。

原告らは取り消しを求めて提訴し、大阪地裁は19年4月に処分は違法として取り消した。判決は確定したが、同年5月に国が改めて支給停止を通知したため、再び提訴した。21年、国の処分を一転して適法と判断した大阪地裁判決を受け、控訴していた。

厚生労働省は「今後、関係省庁で判決内容を精査したうえ、対応していきたい」とコメントした。

1型糖尿病 膵臓(すいぞう)の細胞が自己免疫などによって壊れ、血糖値を下げるホルモンのインスリンが分泌されなくなる病気。国内の年間発症率は10万人当たり1〜2人で、小児期に起こることが多いとされる。
根治のための効果的な治療法がなく、膵臓移植を受けるか生涯にわたり血糖測定をしながら、毎日注射などでインスリン注入を続ける必要がある。生活習慣病で大人に多い2型糖尿病とは原因が異なる。

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