2018年7月の西日本豪雨災害から6日で6年。被害の大きかった呉市や坂町、広島市安芸区などでは献花台が設けられ、遺族らが足を運び、故人に思いをはせた。

 呉市の献花台には、東広島市の工(たくみ)幸恵さん(74)が訪れた。当時、呉市天応西条3丁目にあった自宅に1人でいたところ、土砂にのまれ、約8時間後に救出された。仲の良かった知人6人を亡くし、「安らかにお眠りくださいと伝えました」と涙ぐんだ。

 坂町小屋浦4丁目の坂町水害碑には、母キク子さん(当時85)と叔母の岡田須磨子さん(同82)を亡くした同町の水尻忠道さん(62)が花を手向けた。「テレビで家族のドラマを見ると、昔ほどではないけれど、ぐっときてしまう」と話した。

 5人が亡くなった広島市安芸区の「梅河団地」に設けられた献花台の前では、親族を失った40代の男性が遺族を代表してあいさつした。「復興はまだ道半ば。何年経っても、遺族にとっては一区切りという言葉は存在しない」と語った。

 広島県によると、坂町で昨年亡くなった人が新たに災害関連死と認定され、県内の死者は153人(うち災害関連死44人)となった。

 死者が多かった呉市と広島市によると、両市とも当初計画していた復旧事業が昨年度末までにすべて完了した。

 一方、西日本豪雨を受け、県が23年度までの5年間で取り組むとしていた砂防ダム整備は道半ばだ。125カ所のうち、今年5月末時点で完了したのは94カ所。県の担当者は「用地確保や住民との協議に時間がかかっている所がある」とする。また、176カ所の治山事業のうち、完了したのは116カ所にとどまっている。(興野優平、大野晴香)

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