「Fのさかな」の発刊準備を進める佐味一郎編集長=石川県七尾市本府中町で
◆東京や中部の駅などでも配布
2006年に創刊し、季刊誌として延べ200万部近く発刊してきた。「Fのさかな」のFは能登半島の形を表し、フィッシュやフレッシュなどの意味が込められている。ブリや香箱ガニ(雌ズワイガニ)、サザエなど能登近海でとれる魚介類をテーマに特徴や謎、食べ方などを特集し、刺し身やカキなどの通信販売も手がける。 石川県内を中心に、東京の地下鉄駅や飲食店、中部地方の道の駅などで配布し、すし店や水産業関係者にも好評。全国各地の地域密着型メディア媒体を審査する「日本地域情報コンテンツ大賞」などで毎年のように高い評価を得ている。◆「漁ができないと取材先もない」募る不安
元日の地震で七尾の工場は約100キロある印刷機が何台もずれ動き、屋上の給水タンクが破損して漏水。事務所も棚が倒れ、印刷物などが散乱した。大規模火災が発生した「輪島朝市」から近い輪島市の事業所は建物自体は無事だったが、スタッフ2人の自宅は傾いたり、断水が続いたりしたまま出勤してきた。 2月に設備は復旧したが、取引先の多くが被災し、業務を縮小して営業している。2月に発刊予定だったFのさかなも、地震前に取材した内容はお蔵入り。佐味一郎編集長(49)は「漁ができないと取材先もない。発刊を続けていけるだろうか」と不安が募った。◆継続発刊へクラウドファンディング
それでも地元の情報誌として「被災した事業者の復興を支え、能登の現状を伝えたい」と奮い立った。Fのさかなの継続発刊や、被災した飲食店や商店などの情報を伝える交流サイトでの動画発信、地域型ポータルサイトの立ち上げを目指し、3日からクラウドファンディング(CF)を始めた=CFのサイトはこちらから。5月末まで目標金額200万円で事業費を募る。 地震後初の号は「被災した風景より、美しい能登を回顧する内容にしよう」と考えている。表紙は特集するマガキの写真で「頑張るぞ!能登半島!」のメッセージと、県が作ったハート形のロゴマーク「#能登のために」を添えた。珠洲市の見附島や輪島市の白米千枚田など被災前の四季折々の風景写真を盛り込む。佐味さんは「復興に向かう力になれば」と思いを込めた。4月中の発刊を目指している。
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