福岡県弁護士会は4日、投資詐欺の被害金回収で虚偽広告を掲げるなどしたとして、典士法律事務所(福岡市博多区)の東(あずま)武志弁護士(80)を懲戒処分の手続きにかけたと発表した。事案の重大性などを踏まえ、処分が決まる前に公表したという。

 会によると、東弁護士は2月ごろから事務所のホームページで、投資詐欺などの被害者向けに「80万円全額回収」などと実績のない広告を掲載。また、被害金の回収を受任した後も、事務職員に自分の名義を使用させて返金交渉を任せきりにするなどの非弁提携行為をした。会には6月20日までに、東弁護士の依頼者から「着手金を支払ったのに一度も弁護士と話をしておらず、被害金の回収が進んでいない」などといった苦情や相談が18件あった。東弁護士は3月から入院しているという。東京弁護士会から3月、福岡県弁護士会に連絡があり発覚した。

 東弁護士は会の聴取などに対し、事務職員13人ほどを雇って90件ほど受任し、約1200万円を回収したと説明。非弁提携行為については「(自分の)責任において行っている」と否定し、広告については「ホームページの制作会社が事例を創作して掲載した」と述べたという。一方、会は6月11日までの調査で、東弁護士の依頼者63人の詐欺被害が計約6億円だったと認定。東弁護士からの回答では、このうちの回収額は計727万円だったという。

 会では今後、綱紀委員会が懲戒相当か議決した上で、懲戒委員会が処分を決める。また、19日までの平日午後1~4時、依頼者向けに相談窓口(092・741・6416)を設ける。(上月英興)

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