6月14日に成立した改正入管難民法に盛り込まれた、外国人の永住資格の取り消し要件を拡大する措置について、国連の人種差別撤廃委員会は「永住者の人権に及ぼす影響を懸念する」とする書簡を日本政府に送った。

◆「外国籍の人に差別的な影響を及ぼさないようにすべきだ」

 同委員会は先月25日付で日本政府あてに書簡を送り、ホームページでも公表した。

国連本部

 改正入管難民法は永住者が税金や社会保険料の滞納をした場合などに永住資格を取り消すことができるとしており、当事者の外国人や支援団体からは過剰な制裁との批判が出ている。  書簡は「新法が外国籍の人に対して差別的な影響を及ぼさないようにすべきだ」と指摘。「永住資格が取り消され退去命令が出た場合に、当事者が異議を申し立てられる措置を講ずべきだ」と要求した。  同委員会はさらに、日本政府に対し、永住者の人権確保のための方策や、法律の廃止や見直しをする予定があるかなどを8月2日までに報告するよう求めた。  同委員会は、日本も1995年に批准した人種差別撤廃条約に基づく組織。各国の条約の履行状況を調べ、必要に応じ勧告している。日本については技能実習制度についても外国人の人権が侵害されているとして問題視し、是正を勧告してきた。(池尾伸一) 

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