勤務地によって地域手当に格差があることは、裁判官の在任中は報酬が減額されないなどと定めた憲法に違反するとして、津地裁の竹内浩史・部総括判事(61)が2日、減額分約238万円の支払いを国に求める訴えを名古屋地裁に起こした。現職裁判官が国を提訴するのは極めて異例。
国家公務員の地域手当は、人事院規則で勤務地ごとにその地域の民間企業の賃金水準などに応じた割合を基本給にかけて支給額が決まる。東京23区は20%、名古屋市は15%、津市は6%などと定められている。
訴状によると、竹内判事は2021年に名古屋高裁から津地裁に異動。地域手当の支給割合減少により3年間で計約238万円の報酬が減額されたとし、憲法に違反するなどと主張している。
訴状では、地域手当の割合が各地域内の大企業の有無で左右されることなども指摘。裁判官に限らず、公務員全体に対して不合理な給与の差別があるとして、憲法が定める「法の下の平等」にも違反すると訴えている。
竹内判事は元弁護士で、訴訟の弁護団は旧知の弁護士ら約40人で結成された。提訴後に記者会見した竹内判事は「誰が何のためにこんな不合理な制度を作ったのか。法廷で真相を解明したい」と強調した。
最高裁は「コメントすることは差し控える」としている。(高橋俊成)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。