観光船事故で行方不明となった息子の道具などが並ぶ机を見る男性=6月、北海道帯広市(画像の一部を加工しています)

 北海道・知床沖で2022年、観光船が沈没し乗客乗員26人が死亡、行方不明となった事故で、乗客家族らが3日、運航会社「知床遊覧船」と桂田精一社長(61)に損害賠償を求め、札幌地裁に提訴する。7歳だった息子と元妻が行方不明の北海道帯広市に住む男性(52)は「自身で法廷に立ち、社長の責任を追及したい」と願う。

 弁護団によると、今年5月時点で原告は計29人で、請求額は十数億円になる見込み。捜査が長期化していることから提訴を決めた。

 男性は2月、息子について法律上亡くなったものとする「認定死亡」の手続きをした。原告となるためには「遺族」でなければならないためだが、家族の帰りを待ち続けると決めていた男性にとって苦渋の決断だった。

 息子分の請求額は1億円弱となった。事故後にうつ病を患い、失職。現在も満足に働けないが、目的は金ではない。「責任を自覚できるだけの額を負ってほしい」と考えている。

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