福島市は1日、性的少数者や事実婚のカップル、家族を公的に認める「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」の運用を始めた。第1号となるカップル1組が誕生したという。県内の制度導入は伊達市、南相馬市に次いで3番目となり、県も秋の導入をめざしている。

 制度は、互いがパートナーであることを示す宣誓書を提出すると、公的な証明になる受領証やカードが交付される。

 福島市の受付窓口は、男女共同参画センター(同市本町)に置かれた。制度が始まったこの日、1組のカップルが宣誓書を提出し、市の第1号になったという。

 市の場合、可能になる行政サービスは、市営住宅への入居申し込みや救急車への同乗、市立保育所などへの送迎(引き渡し)など。このほか、移住や結婚新生活などへの支援金、補助金の申請もできるようになる。

 市の独自制度として、市職員の場合も制度を適用し、配偶者と同様に扶養手当や忌引休暇などの対象にする。「市が率先して推進を図るため」という。

 ただ、同制度に法的効力はなく、民間事業者には適用されない。このため、入院時の面会や病状説明、賃貸物件の入居などに際し、市が協力を求めている。

 さらに、市の制度であるため、県営住宅など県の行政サービスも対象外になる。県の導入検討について、木幡浩市長は6月の定例会見で「広域的に導入するべきだと思っていた。先行自治体の取り組みも最大限に生きるような制度にして欲しい」と話した。

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 パートナーシップ制度について、福島県は6月議会で、秋ごろにも導入する方針を示した。詳細は固まっていないが、導入で、県営住宅への入居など県の行政サービスの対象になるという。

 県によると、都府県が導入しているパートナーシップ制度は25。市町村が個別に導入する例も多く、県内では1日から運用が始まった福島市を含め3市が導入している。

 こうした状況から、県には先行市以外からも制度導入を望む声が寄せられていたという。

 県は現時点で、パートナーシップ宣誓の受け付けは県が担うとしており、先行市との調整も課題になりそうだ。また、県の制度では市町村個々の行政サービスは対象外。例えば、市町村の公営住宅に入居できるかは「市町村の判断になる」(県の担当者)という。

 県は今後、対象に性的少数者以外にも異性の事実婚を加えるかや、具体的な行政サービスを詰めることにしており、市町村担当者への説明会やパブリックコメントなどを予定している。

 5月に「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」を導入した南相馬市の担当者は「県が制度をつくることで、対象者が受けられるサービスが増える」と県導入の効果に期待している。(滝口信之、荒海謙一)

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