国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会は、去年の夏に日本で初めて行った調査結果を、ことし6月の理事会で報告し「日本には人権に関する構造的な課題がある」などと指摘しました。
これを受け、調査にあたった作業部会の専門家、ピチャモン・イェオファントン氏が来日し、1日にNGOが都内で開いた講演会で調査結果について報告しました。
このうち、旧ジャニーズ事務所の元社長、ジャニー喜多川氏の性加害問題について、ピチャモン氏は「メディアによって、問題が何十年も覆い隠され、今も被害者たちには補償への長い道のりが残されている。対話を含めた正しいプロセスで補償が行われるよう、引き続き警告していく」と述べたうえで、「こうした問題が二度と起きないよう、今だけでなく、将来の課題として議論することが大切だ」と指摘しました。
また、福島第一原子力発電所で廃炉などを行う作業員の健康問題や、アニメーション業界の長時間労働の問題などを指摘したうえで、日本に、政府から独立した人権機関がないことを踏まえ、「人権機関の設立で、すべてではなくとも問題を解決できるはずで、政府が取るべき大きな一歩だ」と提言しました。
そして最後に、「人権侵害の問題は隠されるべきではなく、リスクにさらされている人たちの声を聞いて迅速に対処すべきで、関係する人たちが行動を起こすことが必要だ」と呼びかけました。
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