札幌市の繁華街・すすきののホテルで昨年7月に男性(当時62)が殺害され、頭部が持ち去られた事件で、殺人や死体遺棄、死体損壊などの罪で起訴された田村瑠奈被告(30)の母親で、死体遺棄幇助(ほうじょ)と死体損壊幇助の罪に問われた浩子被告(61)の第2回公判が1日、札幌地裁(渡辺史朗裁判長)であった。この日は証拠調べの手続きがあり、夫の修被告(60)=殺人幇助、死体損壊幇助などの罪で起訴=の証人尋問が行われた。

 修被告は、昨年7月2日未明自宅で、瑠奈被告から「首を拾った」と言われ、その後の報道で事件を知ったと証言。瑠奈被告の行動について、事前には聞いていなかったと話した。

 自宅に頭部がある間、修被告は「想定していないとんでもないことが起き、ショックを受けていた」という。

 起訴状などによると、浩子被告は同7日、瑠奈被告から求められ、修被告に「カメラマンするでしょ?」などとSNSでメッセージを送り、死体損壊の様子のビデオ撮影を依頼したなどとされる。この点について修被告は、「細かなところまではよく覚えていない。時系列の記憶があいまい」と話した。

 弁護側から、警察に通報せず、ビデオ撮影の際に瑠奈被告を止めなかった理由を問われると、「止めてもやるだろうなと思った」「とがめることで本人の症状が悪化するのを避けたかった」などと説明。瑠奈被告が家族の中で圧倒的な上位者だったとする検察側の主張を否定し、「娘が怖かったというわけではない」と話した。

 瑠奈被告が長年、精神的に不安定だった経緯を詳しく説明し、「娘の心がこれ以上壊れないようにするためにはどうすればよいかを考えて行動を選択していた」という。

 浩子被告は、涙を流しながら夫の証言を聞いていた。

 この日は、殺害された男性の遺族の供述調書も検察によって読み上げられた。男性の妻は「愚痴を言わず、家族のために仕事してくれた良い夫。何があったのか本当のことを知りたい」。息子は、一緒にツーリングに行くことが趣味だったといい、「こんなひどい殺され方をされるのに納得がいかない」とした。

 次回は8月30日で、修被告の証人尋問が続く予定。(新谷千布美、上保晃平)

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