高齢化などの影響により先細りが懸念される四国遍路の文化を継承しようと、NPO法人「遍路とおもてなしのネットワーク」など民間3団体が連携を始めた。(共同通信=広川隆秀)
交流サイト(SNS)を活用して発信を強化するほか、正確に把握できていなかった巡礼者数などのデータを収集。新たな参加者の掘り起こしや支援の輪を広げたい考えだ。
5月中旬、高松市で開かれた記者会見。同ネットワークと、札所の寺院で構成する「四国八十八ケ所霊場会」、四国経済連合会の代表が集まり、「遍路文化の維持と継承が非常に危ぶまれる状態だ。危機感を持って伝え、共感の輪を広げたい」と訴えた。
高齢化や地域の過疎化を背景に遍路の参加者は大幅に減少しているとみられる。類推の根拠となるのが、徳島県阿南市の21番札所、太龍寺へ向かうロープウエーの乗客者数。開業した1992年は約16万人だったの対し、2019年は約5万5千人まで減少。新型コロナウイルス流行が追い打ちをかけた。
打開策として3団体は、遍路の価値を分かりやすく伝えるキャッチコピーを作成し、SNSを活用して魅力を発信。遍路文化に興味を持つ人を「お遍路サークル」として緩やかにつなげ、人手や資金を募る仕組みを作る。
より効果的なマーケティングを行うため、正確に把握できていなかった巡礼者の人数や年齢、国籍などの属性データを各札所で集める。
同ネットワークの半井真司理事長は「千年以上続いた四国遍路の文化を残すために、より多くの人に魅力や価値を認識してほしい」と話した。
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