陸上競技場に作られた仮設住宅。大雨で出歩く人が少ない中、支援団体の関係者らが食事の配布や入居支援などの活動を行っていた=2024年6月30日午後0時6分、石川県穴水町、林敏行撮影

 能登半島地震は1日で発生から半年を迎える。全半壊の建物を自治体が取り壊す公費解体は進んでおらず、道路の通行止めや断水も解消されていない。避難所から仮設住宅に移る被災者は増えており、生活の再建に向けて第一歩を踏み出している。

 石川県によると、6月27日時点で、死者は281人(うち災害関連死52人)になり、平成以降の地震災害で、東日本大震災、阪神・淡路大震災に次いで、3番目に多くなった。さらに18人が関連死として認定される見通しに加え、少なくとも133人の遺族が審査を求めており、犠牲者数は今後も増える。負傷者は1207人で、依然3人が行方不明のままだ。

 住宅被害は、全壊8053棟、半壊1万6746棟に達した。公費解体は、約2万900棟の申請のうち、完了は4%にとどまっており、街の姿は被災直後から大きく変わっていない状態が続く。

能登半島地震の被害

 仮設住宅は、9市町で必要戸数の約7割にあたる4943戸が完成し、3951世帯が入居。自治体が民間の賃貸住宅を借り上げた「みなし仮設」には、金沢市など県南部を中心に北陸3県と新潟県で、計約3800世帯が入居している。市町では復興計画を作るため、行政と住民の意見交換会が開かれており、復興に向けた準備が始まっている。

 ただ、特に被害が大きかった輪島や珠洲など6市町では、1~5月の転出者数が計4193人と、元日時点の人口約12万人の3%にあたり、スピード感のある復旧・復興が求められている。

 被害は石川県外にも及んでおり、総務省消防庁によると、6月25日時点で、新潟県で負傷者は50人、住宅被害は全壊106棟、半壊3766棟、富山県で負傷者は51人、住宅被害は全壊249棟、半壊772棟にのぼった。(千種辰弥)

能登半島地震 仮設住宅の現状
能登半島地震 公費解体の現状
能登半島地震 上下水道断水の現状
能登半島地震から半年間の出来事

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