<東京 むかし、いま、みらい 都知事選2024>  6月1日の東京都の推計人口は1417万人となり、過去最多を更新した。国土のわずか0.6%に、総人口の11%が集中する世界有数の過密都市だ。ヒト、モノ、カネを地方から吸収し、拡大を続けてきた首都・東京。都政がたどってきた「むかし」から「いま」、そして「みらい」を考える。

◆かつては新潟県より少なかったことも

 400年前の東京(江戸初期)の人口は15万人程度だったとされる。明治初期に100万人を超えたが、当時は新潟県の方が人口が多い時期もあり、決して独り勝ちではなかった。  東京の人口が伸びたのは戦後復興期と高度経済成長期。1945年に350万人ほどだった人口が、約20年間で1100万人に急増。その後、地価の急騰を背景に東京から離れる動きも出たが、バブル経済崩壊とともに再び東京の人口は増え始めた。コロナ禍の2021年に「脱東京」の動きも見られたものの、わずか数年で人口集中の流れが再開した。  昨年、東京の合計特殊出生率は0.99で全国最低。それでも人口は47都道府県で唯一、増加した。地方から主に若い世代を吸い込み、拡大を続けている。

◆「東京圏全体の成長マネジメントが必要」

 人口集中により効率的な経済や都市としての魅力を手に入れてきた東京。一方で住宅の確保や環境問題、防災対策などさまざまな弱点も露呈している。

タワーマンションが並ぶ臨海部

 東京大院の村山顕人准教授(都市工学)は「近年では都心や駅周辺に人口が極端に集中し、成長の限界が来ている。自然災害発生時のリスクも高く、持続可能とはいえない」と指摘。その象徴として、相次いで建てられている超高層タワーマンションについて「建て替えが難しく、50年後、100年後にゴーストタワー群になりかねない。人口の減少する東京の郊外では空き家問題も起きており、東京圏全体の成長マネジメントが必要だ」と話す。(岡本太) 

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