逮捕前、弁護士からの電話に応じないよう警察官から求められ連絡できなかったのは「弁護人依頼権」を保障する憲法などに違反するとして、50代の男性と弁護士が北海道に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が28日、札幌高裁であった。佐久間健吉裁判長(小河原寧裁判長代読)は、道に計16万円の支払いを命じた一審・札幌地裁判決を支持し、当時の警察官は「職務上の注意義務に反していた」とした。

 判決によると、男性は2021年9月、札幌市内の警察署で別の事件の事情聴取を受けた後、覚醒剤を使った疑いがあるとして警察車両に乗せられた。車中で弁護士から着信があったが、複数の警察官から出ないように求められ、応じなかった。

 佐久間裁判長は、「捜査機関は(中略)弁護人への相談を不必要に制約しようとするような言動を控えるべき職務上の注意義務を負う」と指摘。当時の警察官が、電話連絡を強制的に制限するような言動をしていたとは認められないものの、「弁護人に相談して助言を受ける機会が十分尊重される場面」だったとして、男性の法的利益を侵害したと認めた。

 原告の野田晃弘弁護士は「弁護人との電話連絡について、警察官の注意義務として明文化した判決は全国的にも珍しいのではないか」と語った。

 道警監察官室は「判決内容を精査し、対応を検討する」とコメントしている。(新谷千布美)

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