厚生労働省は28日、地域の高齢者らを見守る民生委員の担い手を増やすため、選任要件の緩和に向けた有識者会議の初会合を開いた。担当する市町村に住んでいる人に限定している要件を、通勤で訪れる人や、かつて住んでいて転出した人にも広げる案を軸に議論。今年度中に意見を取りまとめ、民生委員法の改正を目指す。
座長の中島修文京学院大教授は「民生委員への期待は大きい一方、欠員が生じている。歴史ある制度を継続していくため、議論していきたい」と述べた。
1人暮らしの高齢者が増加し、民生委員の重要性が高まる一方、業務の負担感などから担い手不足が深刻化。22年度末時点で全国の定数24万人余りのうち、約1万3千人が欠員となっている。
民生委員は無償で、市町村が推薦し厚労相が委嘱する。現行法は選任要件を「(担当する市町村の)議会議員の選挙権を有する者」と規定し、18歳以上で3カ月間住んでいる必要がある。民生委員の関係団体からは、担当市町村に住んでいない人が委員になると「夜間などの緊急時に対応できない」と慎重意見も出ている。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。