“人工地震” “地震を予知した” 地震直後から偽情報広がる

愛媛県と高知県で震度6弱を観測した地震が発生した直後から、旧ツイッターのXには人工地震だとする偽情報などが多く投稿されました。

今回の地震が「人工地震」だとか「地震を予知した」とする偽情報などは1万回以上閲覧されているものだけでも25あり、18日午後5時現在であわせて400万回以上閲覧されています。

このうち、四国電力伊方原子力発電所に関連した人工地震だとする偽情報は65万回以上、予測が的中とする偽情報は50万回以上閲覧されていました。

また、東日本大震災の記憶をモチーフにしたアニメ映画「すずめの戸締まり」に重ねて、次に地震が起きる場所だと具体的な都市の名前を名指しして不安をあおる根拠のない投稿も複数ありました。

ほかにも今回の地震によるものだとして、阪神・淡路大震災や海外の噴火の動画をつけた閲覧数=インプレッション稼ぎの偽の投稿なども見られました。

専門家「人工地震だという主張 “違う”」

こうした投稿について、地震の専門家は「人工地震という主張は『違う』と言える」と否定しています。

地震のメカニズムに詳しい東京大学の酒井慎一教授は「今回の地震の震源は深さがおよそ40キロと、人間の手が届かない掘ることのできない深さで発生している。そこに何か細工をし地震を起こすことは今の人間の技術ではできない訳で、今回の地震が人工地震だという主張は『違う』と言える。仮にそうした技術があったとしても、誰にも見つからず多額の費用をかけて掘るのは困難だし無駄だ」と指摘しています。

東京大学 酒井慎一教授

酒井 教授
今回の地震を人工地震だと主張する人には逆に何を根拠にしているのか聞いてみたい。根拠を示されれば否定できるがSNSなどでは一方的で反論ができない。閲覧する人は根拠のない情報を鵜呑みにしないように注意する必要がある

人工地震とは?

そもそも人工地震とはどういったものか?

政府の地震調査研究推進本部は「人工地震」は「火薬の爆発などを使って、人工的に発生させた地震のこと」としています。

また、核実験や、採石場で崖などをダイナマイトで爆発させて岩などを取り出す際などにも、人工的な揺れが観測されることがあります。

バイブロサイス車という地面を揺らす車を使って人工的に地震を起こし、揺れの伝わり方から地下の構造を調べる「人工地震探査」という調査手法もあります。

地震を人工的に起こす「バイブロサイス車」

ただ、いずれも震源は浅く、専門家は深い場所から揺らすことは人間では不可能であると指摘しています。

酒井慎一教授は「人工的に地震波を作ることは可能だが、核実験もダイナマイトを設置する場合も、人間がやることなので震源は浅い場所に決まる」と話していました。

気象庁「人工地震ではなく自然地震」正確な情報確認呼びかけ

気象庁地震津波監視課も今回の地震について「人工地震ではない」としています。

理由については今回の地震の波形が、核実験や、採石場での爆破によってできる人工的な波形とは異なっていることなどをあげ「自然地震であるといえる」としています。

またSNS上では、気象庁の会見の映像を引用して「人工地震は存在する」などと指摘する投稿が広がっています。

これは2016年1月に北朝鮮で核実験が行われた際の会見映像で、気象庁は「昨夜の地震を受けた会見の映像ではなく、今回の地震とは無関係だ」としています。

気象庁地震津波監視課
観測情報など地震に関する正確な情報は気象庁のホームページに掲載している。根拠が不明の情報に接した時は確認してほしい

偽情報や誤情報 広げないためにできること

大きな災害のたびに出回る偽情報や誤情報。

広げないためにできることは何か。
ポイントをまとめました。

大きな災害時には根拠のないうわさや誤情報が必ず広がると認識してください。そして、不安な気持ちになっても落ち着いて、冷静な目で情報を見るようにしてください。

そしてもし、真偽の分からない情報に接したら。

公的機関など、信頼できる発信元から出た情報か確認し、安易に拡散しないようにしましょう。

詳しい内容は、こちらの記事からも確認できます。

これから拡散しやすいデマって?過去の災害から見えたこと

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