能登半島地震で海底隆起などの被害が出た石川県輪島市の輪島港で、漁船を出港させるために必要な水深をおおむね確保したことが26日、国土交通省への取材で分かった。漁船停泊エリアで海底の土砂をさらう作業を6月に完了し、今夏にも操業を再開できる見通しだ。

港を管理する石川県は早期の操業開始に向け、漁業者らとの調整を進める。

元日の地震発生から間もなく半年。県内有数の水揚げを誇る輪島港の再生に一定の道筋が付き、地域復興の加速が期待される。ただ、港湾施設の被害は深刻で、本格的な操業には時間がかかることも予想される。

輪島港では海底が隆起して約200隻の小型漁船が座礁状態に陥った。今も一部は港内に閉じ込められた状態で、石川県から国が復旧工事を代行。県も荷揚げ場などの港湾施設や燃油貯蔵施設などの復旧を進めている。

国交省によると、海底の土砂をさらうしゅんせつ作業は6月下旬までにおおむね終了し、漁船の航行に必要な水深を確保できた。県は作業が完了したエリアから順次、閉じ込められた漁船を別の港へ移動させている。

輪島港では、日本中小型造船工業会(東京)などが、港から出せない漁船の緊急点検を実施。エンジンの異常音やオイル漏れがないかどうかの確認を続けている。

輪島港付近の海域も、海底の段差が高さ3〜4メートル、長さ約2キロにわたり断続的にできていることが、九州大の調査で判明。調査チームは漁業者らの安全な操業につなげるため、輪島港周辺の詳細な海底地形図を作り、7月にも無料で公開する。

県は本格的な操業再開まで、漁業者に一時的な就業先を紹介。漁場の調査や漂流ごみの除去などに従事しているケースがある。馳浩知事は「水産業の復旧なくして能登の復興はない」と強調。漁港施設復旧などへの支援を続ける方針を示す。

国と県は5月、輪島港の本格復旧に向けた検討会を立ち上げ、港を別の場所に移さず、現在位置で再建する方針を地元漁業者らと確認した。7月上旬に短期的な復旧策をまとめる計画だ。〔共同〕

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