30年前に小学校の担任だった男性教諭から性被害を受けたとして、東京都内に住む男性が元教諭に損害賠償を求めた訴訟で、東京高裁(水野有子裁判長)は、被害の事実を認め、元教諭に慰謝料など約2千万円の支払いを命じる判決を言い渡した。判決は3月26日付。

 被害を訴えたのは、石丸素介さん(40)。高裁判決によると、石丸さんは小学校4年生ごろ、当時40代の教諭からひざの上に座るように指示され、半ズボンの隙間から手を入れられ、陰部を触られた。所属していたサッカー部の練習後も複数回、教諭から服を脱がされて抱きしめられたり、陰部を触られたりした。

 石丸さんは、元教諭が退職後、別の児童へのわいせつ行為で逮捕されたとの報道を契機に、2020年に自分の被害をめぐり提訴。22年の一審・東京地裁立川支部判決は、元教諭の行為を根拠づけるのは「原告の供述や訴えがあるにとどまる」などとして被害の事実を認めず、請求を棄却した。

同級生が被害を証言

 石丸さんが控訴し、高裁では元同級生たちが、同様の被害にあったことなどを証言した。

 高裁判決は、元同級生らの証言は石丸さんが訴える被害内容と整合し、「信用性が高い」と判断。加害行為を否定する元教諭の主張は採用できない、とした。その上で、元教諭の行為は「児童を保護すべき教師による性加害」と結論付けた。

 また、石丸さんの精神疾患が今回の被害により悪化した時期を踏まえ、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」は過ぎていなかった、とも判断し元教諭に賠償を命じた。

 元教諭は高裁判決を不服として、最高裁に上告した。(米田優人)

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