認知症の80代女性に相場を大幅に上回る価格で不動産を売りつけたとして男4人が逮捕された事件で、警視庁捜査2課が関係先から高齢者約9万人分の名簿や詐欺の手順を示すマニュアルを押収していたことが25日、捜査関係者への取材で分かった。

同課は同日、同じ女性に同様の手口で別のアパートを売りつけ、3400万円をだましとったとして男4人を準詐欺の疑いで再逮捕した。同課は認否を明らかにしていない。

再逮捕されたのはインターネット不動産販売(東京・板橋)に勤務する山崎和馬容疑者(41)=東京都豊島区=ら4人。

同課によると、4人は約300万円で購入した不動産を、被害女性に10倍以上の価格で販売していた。実際の価格を知られないよう、別の高齢女性と共有名義で所有させ、転売しにくくしていたとみられる。

4人は22年から23年にかけて、首都圏を中心に認知症の高齢者ら50人以上に対して不動産を販売し約7.6億円を売り上げていたとみられる。名簿やマニュアルに基づき電話をかけ、資産状況などを聞き出してターゲットを選定した上で集中的に自宅を訪問するなどしていたとみている。

4人は80代女性に東京都青梅市のアパート一室を売却し現金1600万円をだましとったとして、今月5日に準詐欺容疑で逮捕されていた。

知識が不十分な未成年者や心神耗弱の人に乗じて財産を奪い取る行為は準詐欺罪として禁じられている。違反した場合には10年以下の懲役が科される。

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