愛媛、高知で最大震度6弱を観測した17日夜の地震では、南海トラフ地震の可能性が高まったかどうかを調査する「臨時情報」は発表されなかった。臨時情報とはどんなもので、発表されたらどう行動すればいいのだろうか。

  • 四国で初の6弱、南海トラフと関連は 専門家「ゼロでないが限定的」

 南海トラフ地震の想定震源域は、東海から九州の太平洋沖とされ、100年から200年ほどの間隔で、繰り返し巨大地震が起きてきた。発生すれば津波が広い範囲に押し寄せ、犠牲者は最大約32万3千人と想定される。

「調査中」発表したらすぐ検討会

 その南海トラフ地震に関連して発表されるのが、臨時情報だ。南海トラフ地震の想定震源域周辺で、地震の規模を示すマグニチュード(M)6.8以上の地震などの異常現象が起きた際、気象庁が地震発生の5~30分後にまず、「臨時情報(調査中)」を発表する。

 大地震が発生すると、続けて別の大地震が起きやすいことが知られている。新たな巨大地震が発生する可能性が平時より高まったかどうか、専門家らによる検討会が調査を始めたことを知らせるのが目的だ。

 今回の17日夜の地震は、南海トラフ地震の想定震源域内ではあったが、M6.6と基準を下回ったため該当しなかった。気象庁の担当者は18日未明の会見で「(南海トラフ地震が)発生する可能性が急激に高まったとは考えにくい」との見解を示した。

 「調査中」の臨時情報がもし発表されると、検討会がすぐさま開かれ、地震発生から最短2時間後に調査結果が発表される。出される臨時情報は、巨大地震発生の可能性が平時より高まっていると判断されれば、「巨大地震警戒」か「巨大地震注意」、発生の可能性が高くないとみなされれば「調査終了」が発表される。

 巨大地震警戒は、M8級の巨大地震が想定震源域の東西どちらかで起き、残りの側でも続く可能性がある時を想定している。すでに大被害が別の地域で起きている際に出ることになる。

発表まだ0回、低い認知度が課題

 発表はテレビやラジオ、防災行政無線などで周知される。臨時情報は2017年に制度化されたが、「調査中」も含めてまだ一度も出たことはない。認知度が高くないのが現状で、内閣府が昨年公表した調査結果によると、対象地域の住民で臨時情報を「知っている」と回答したのは28.7%にとどまる。

 では、臨時情報が出された時、どう対応すればいいのか。

 内閣府によると、対応の基本は、日頃からの備えの再確認と、すぐ避難するための準備。すぐ逃げられる服装で就寝したり、水や食料、常備薬などを非常用袋ですぐ持ち出せたりする準備が必要。携帯ラジオやスマホの予備バッテリーなどの備えもしておきたい。

 ただ、「巨大地震警戒」となった場合、地震発生後の避難で間に合わない可能性のある高齢者などは1週間程度の事前避難が必要だとしている。津波が襲う海岸沿いの集落などが対象となる。

 ただ、臨時情報が発表されても、実際にいつ地震が起こるかはわからない。「調査終了」となっても、巨大地震の可能性がなくなったわけではないため、注意しながら生活することが必要となる。

 南海トラフ沿いで異常現象が観測されるとは限らないため、臨時情報の発表がないまま南海トラフ地震が発生する可能性もある。自分が住んでいる地域の津波の想定や避難路を確認するなど日頃から地震に備えることが基本であることは変わらない。(石倉徹也)

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